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パチンコ求人票の読み方|元店長が「書かない自由」と法律で明示が義務の項目を解説

「アットホームな職場です!」「福利厚生充実!」

こういう謳い文句の求人ほど、入ってみたら聞いていた話と全然違った——パチンコ業界では、正直よくある話です。

ボクは業界歴13年で、店長として求人票を書く側にもいました。だから分かるのですが、求人票というのは嘘を書いているわけではありません。嘘は書けない。でも、本当のことを全部書かない自由はある。これが実態です。

この記事では、求人票のどの言葉をどう読めばいいのか、そして法律で書くことが義務づけられているのに書いていない求人をどう扱えばいいのかを、書く側にいた立場から整理します。

結論:「書いてあること」より「書いていないこと」を読む

求人票を読むときの原則

書いてある良いことは、たいてい本当(嘘は書けないので)
書いていないことに、都合の悪い話が入っている
・特に、法律で明示が義務づけられている項目が空欄の求人は要注意
・具体的な数字がない褒め言葉は、情報としてゼロ

「福利厚生充実」と書いてあって、その中身が一つも書かれていない。これは書けるものがないということです。書けるものがあれば、必ず書きます。書いたほうが応募が増えるので。

元店長の告白:求人票を書く側は何を考えているか

嘘は書けない。でも書かない自由はある

求人票の内容が事実と違うと、後で問題になります。だから明確な嘘は書きません。書けません。

そのかわりに使うのが、「事実だけど、一番良い部分を切り取る」という書き方です。これは違法でもなんでもないので、どの会社もやっています。

「月収35万円可」は、店で一番稼いでいる人の数字

求人票の「月収例」は、たいてい実在する誰かの給与明細から取っています。嘘ではありません。

ただしそれが誰かというと、遅番に多く入って、残業も多くて、深夜手当が最大限ついた人の数字であることがほとんどです。平均ではなく、上限に近い数字が載ります。

パチンコ店の給料が高めに見える理由は、能力の評価というより深夜手当が構造的に乗るからです。この構造はパチンコ店員の給料のリアル|給与明細を全部分解するで、明細の中身から全部書きました。求人票の月収例を見るときは、先にこちらを読んでおくと逆算できるようになります。

shimizu

ボクが書いていた頃も、月収例をどの人の数字にするかは普通に相談していました。低い数字を出しても応募が来ないので、当然そうなります。悪気があるというより、みんながやっているから合わせている、という感覚に近いです。

同じ求人が何か月も出続けている理由

これはかなり分かりやすいサインです。

求人を出すにはお金がかかります。それでも同じ店の同じ職種が半年出続けているなら、理由は2つしかありません。採れていないか、採ってもすぐ辞めているか。どちらにしても、その店で何かが起きています。

逆に、めったに求人が出ない店もあります。人が辞めないからです。「アットホームな職場」と書いてある店より、そもそも求人が出ていない店のほうが、実際にアットホームだったりします。

【フレーズ辞典】この言葉が出たら、こう読む

求人票の言葉 実際に多い意味
アットホームな笑顔溢れる職場 特徴として書けることが他にない
福利厚生充実(中身の記載なし) 法定の社会保険以外に、書けるものがない
月収35万円可 遅番中心で残業も深夜手当も最大限ついた人の数字
幹部候補・店長候補 人が足りていない。早く役職に上がる可能性は本当にある
若手が活躍中 ベテランが残っていない可能性がある
週1日からOK・1日4時間〜OK 応募のハードルを下げる文言。実際の採用枠は限られる
未経験歓迎 本当に未経験可。ただし教育体制の有無は別問題
研修充実(期間の記載なし) OJTのみ、つまり現場で見て覚えるケースがある
週休2日制 毎週2日休めるとは限らない(後述)
やりがいのある仕事 情報としては何も言っていない

誤解のないように書いておくと、これらの言葉が入っている求人が全部ダメという話ではありません。この言葉「しか」書かれていない求人が危ないという話です。

「幹部候補」は、実はチャンスでもあります

一つだけ、悪い意味だけではないものを挙げておきます。

「幹部候補」「店長候補」と書いてある店は、確かに人が足りていません。ただしそれは裏を返すと、若いうちに役職に上がれる可能性が本当にあるということでもあります。

パチンコ業界は役職で給料が変わる世界なので、これを狙って入るのは戦略として悪くありません。しんどさを承知で行くなら、アリです。

「完全週休2日制」と「週休2日制」は、まったく別物です

ここは知らずに損をしている人が本当に多いので、はっきり書きます。

この2つは意味が違います

完全週休2日制=毎週かならず2日の休みがある
週休2日制=月に1回以上、2日休みの週がある。それ以外の週は1日しか休めない可能性がある

「週休2日制」と書いてあるだけの求人は、年間休日が100日を切ることもあります。だから求人票では「完全」の2文字と、年間休日日数を必ず確認してください。

年間休日105日と120日では、1年で15日、丸2週間分の差があります。給料が月1万円高いことより、こちらのほうが効いてくることは多いです。

法律で書かせているのに、書いていない求人は危ない

ここからが、この記事で一番伝えたい部分です。

求人票には、法律で明示が義務づけられている項目があります。それが書かれていないということは、法令を守れていないか、意図的に伏せているかのどちらかです。どちらにしても、その会社の労務管理の姿勢が見えます。

固定残業代は、金額・時間数・超過分の扱いを書く義務があります

固定残業代(みなし残業)を採用している会社は、募集のときに次の3つを明示しなければなりません。

  • 固定残業代の金額
  • 何時間分に相当するかという時間数
  • その時間を超えた分は別途支払うという旨

2015年10月施行の若者雇用促進法、そして2018年1月施行の改正職業安定法にもとづく指針で、こうした明示が求められています。

だから「月給28万円(固定残業代含む)」とだけ書いて、時間数も金額も書いていない求人は、この時点でおかしい。何時間分なのか分からなければ、その給料が高いのか安いのか計算できません。

ちなみに固定残業代の考え方そのものを誤解している人が多いので補足すると、これは「その時間まで働かないともらえないお金」ではありません。残業ゼロでももらえるかわりに、その時間まで残業しても増えないお金です。詳しくは給料の記事で計算例つきで解説しています。

2024年4月から、「転勤の範囲」も書く義務になりました

これは新しいルールなので、知らない人が多いところです。

2024年4月1日から、職業安定法施行規則の改正により、求人の申込みの際に次の項目を明示することが必要になりました。

  • 従事すべき業務の変更の範囲
  • 就業場所の変更の範囲
  • 有期契約を更新する場合の基準

「変更の範囲」というのは、入社直後だけでなく、将来の配置転換まで含めた範囲のことです。パートやアルバイトも含めた、すべての労働者が対象になります。

これが何を意味するか。求人票を見れば、どこまで転勤の可能性があるのかが読めるようになったということです。

「就業場所の変更の範囲:会社が定める全事業所」と書いてあれば、全国転勤の可能性があります。「変更なし」または特定の店舗名だけが書いてあれば、その範囲に限られます。

パチンコ業界は多店舗展開の会社が多く、転勤の頻度も会社によってまるで違います。実際どのくらい動くのかはパチンコ店社員は転勤が多い?実際の頻度にまとめました。

書いていない求人は、どう扱えばいいか

いきなり「違法ですよね」と指摘する必要はありません。角が立つだけです。

やるべきなのは、応募前か面接で、普通に質問することです。そして大事なのはここからで、聞いたときの反応を見てください。

  • すぐに具体的な数字が出てくる → 管理できている会社
  • 「だいたい」「人による」で濁される → 曖昧なまま運用している可能性
  • 質問したこと自体を嫌がる → 入ってからも同じ扱いになる

質問への反応は、その会社の社風がいちばん出るところです。

求人票で本当に見るべき6項目

ここまでを踏まえて、実際にチェックする順番を整理します。

この順番で見てください

1. 基本給(月給総額ではなく、基本給がいくらか)
2. 固定残業代の時間数と金額
3. 「完全」週休2日制かどうか+年間休日日数
4. 就業場所の変更の範囲(=転勤の範囲)
5. 賞与が「実績」で書かれているか
6. 寮費と、退去するときの条件

なぜ基本給を見るのか

賞与も、退職金も、割増賃金の計算も、多くの場合は基本給がベースになります。月給の総額が同じでも、基本給が低い会社は、長くいるほど差が開きます。

月給28万円のうち基本給が20万円の会社と、25万円の会社。毎月の手取りはほぼ同じでも、賞与が「基本給の2か月分」なら年間10万円の差になります。

賞与は「実績」が書いてあるかを見る

「賞与年2回」とだけ書いてある求人は、金額の約束を何もしていません。制度があることと、実際に出ていることは別です。

見るべきは「賞与年2回(前年度実績:計◯か月分)」という書き方かどうか。実績が書けるということは、実際に出しているということです。

寮があるなら、退去の条件まで確認する

これはパチンコ業界特有の落とし穴です。寮費が安いのは大きなメリットですが、辞めるときの話が抜けがちです。

確認すべきは、退去までの猶予期間、原状回復費用の負担、それから辞めると同時に住むところがなくなるという構造そのものです。これがあると、辞めたいときに辞めにくくなります。

応募前に、自分で調べられること

求人票の外側からも、けっこう分かります。

その会社の店舗数が、増えているか減っているか

会社の公式サイトの店舗一覧を見てください。そして可能なら、少し前の情報と比べてみる。

出店が続いている会社は、単純に人が要ります。役職のポストも増えます。逆に閉店が続いている会社は、残った店に人が集まるので、ポストは減ります。同じ業界内でも、ここは会社によって正反対です。

業界全体としては店舗数が減り続けている(警察庁の統計で令和6年末時点の6,706店、29年連続減)ので、なおさら会社単位で見る意味があります。業界全体の数字の見方はパチンコ店員は底辺?オワコン?業界の将来性を検証するにまとめました。

同じ求人が、いつから出ているか

求人サイトによっては掲載開始日が分かります。分からない場合でも、数週間おきに見ていれば、ずっと出ているかどうかは把握できます。

口コミサイトは、読み方を決めてから見る

口コミサイトは、辞めた人が書くものなので基本的にネガティブに偏ります。だから評価の高い低いは、あまり気にしなくていいです。

そのかわり、複数の人が同じことを書いているかどうかだけ見てください。1人が書いている不満は個人の相性ですが、3人が同じ不満を書いていたら、それは構造的な問題です。

面接で聞いていい質問(角が立たない聞き方)

「聞いたら印象が悪くなるのでは」と心配する人が多いのですが、条件面の確認はむしろ普通のことです。面接官の側も、入ってすぐ辞められるほうが困ります。

そのまま使える聞き方

・「長く働きたいので確認させてください。固定残業代は何時間分にあたりますか」
・「配属店舗は、入社後に変わる可能性はどのくらいありますか」
・「年間休日は何日になりますか」
・「今このお店は、社員の方が何名で回されていますか」
・「直近で、社員の方の入れ替わりはありましたか」

最後の2つが、実はいちばん効きます。1店舗あたりの社員数と、直近の入れ替わり。この2つで、その店の実態はかなり分かります。

「長く働きたいので」という前置きをつけるだけで、条件の確認は前向きな質問として受け取られます。ボクが面接官のときも、こういう質問をしてくる人はむしろ好印象でした。

それでも、求人票から読めないこと

ここまで書いておいてなんですが、求人票をどれだけ丁寧に読んでも分からないことがあります。

  • 今の店長がどういうタイプの人か
  • 直近で何人辞めたか(面接で聞いても、正直に答えるとは限らない)
  • シフトが実際に回っているのか
  • その会社が今、出店に前向きなのか撤退気味なのか

この手の話は、業界の内部を継続的に見ている人でないと持っていません。求人票を読む技術で防げるのは半分までで、残りの半分は情報を持っている人に聞くしかない、というのが正直なところです。

エージェントの使い分けについてはエージェントは特化型と総合型どっち?で、それぞれの強みと弱みを正直に整理しました。

まとめ

この記事のまとめ

・求人票に嘘は書けない。でも書かない自由はある
・「月収例」は上限に近い人の数字。平均ではない
・具体的な数字のない褒め言葉は、情報ゼロ
・「週休2日制」と「完全週休2日制」は別物。年間休日日数で確認する
・固定残業代は金額・時間数・超過分の明示が義務。書いていない求人は要注意
・2024年4月から「就業場所・業務の変更の範囲」も明示義務。ここで転勤の範囲が読める
・見る順番は、基本給→固定残業代→完全週休2日→転勤範囲→賞与実績→寮の退去条件
・同じ求人が出続けている店は、採れていないか辞められている
・面接では「長く働きたいので」と前置きして、社員数と入れ替わりを聞く

求人票は読み方さえ決めておけば、かなりの情報が取れます。逆に、良さそうな言葉だけを見て応募すると、入ってから同じ話を繰り返すことになります。

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