「パチンコ店員は給料がいい」——これ、半分本当で半分嘘です。
ボクは業界歴13年、ホールから始めて店長までやり、面接官として採用側にも座っていました。給与明細を作る側と、求人票を書く側の両方にいた人間として、数字のカラクリを全部書きます。
先に結論:入口は高い。ただし途中で寝る
この記事で伝えたいことは、実はひとつだけです。
パチンコ店の給料は「20代前半では同年代より高く、30代後半で抜かれ、40代で差が開く」という形をしています。金額そのものより、このカーブの形を知っているかどうかで、入ってからの後悔がまったく変わります。
なぜ入口が高く見えるのか
理由は単純で、深夜手当が構造的に乗るからです。パチンコ店は23時前後まで営業していて、締め作業をすると22時以降の勤務がほぼ確実に発生します。法律で決まった割増がそこに付くので、同じ基本給の他業種より額面が上がる。能力ではなく営業時間が生んでいる差だということは、先に知っておいてください。
なぜ途中で寝るのか
深夜手当には頭打ちがあるからです。毎日22時以降に働ける時間には限りがあるので、ここで伸ばせる額は最初の数年で天井に届きます。そこから先を伸ばすには役職を上げるしかない。ところが店長から先のポストは1社に数えるほどしかありません。
しかも店舗数は29年連続で減り続けています(警察庁調べ、令和6年末で6,706店)。上のポスト自体が年々減っているので、椅子取りゲームは年々きつくなっています。
「業界の平均年収は◯◯万円」を信じない方がいい理由
パチンコ業界だけを切り出した公的な賃金統計は、存在しません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、産業の中分類までは公表されています。「生活関連サービス業,娯楽業」の中は、洗濯・理容・美容・浴場業/その他の生活関連サービス業/娯楽業に分かれるので、美容室はここで切り離せます。
問題はその先です。「娯楽業」にはカラオケもゴルフ場も映画館もスポーツ施設も入っています。パチンコホールは日本標準産業分類でいうと小分類の「遊技場」にあたりますが、ここまで細かい賃金統計は公表されていません。だから「パチンコ業界の平均年収」という数字は、公的には作れないんです。
にもかかわらず、ネット上には「パチンコ業界の平均年収は◯◯万円」という表が山ほどあります。出典が書いてあるものを、ボクは見たことがありません。どこかの1サイトが出した数字を、みんなが孫引きしている状態です。
この記事の数字について
- 金額はすべてボクが13年で見てきた体感値です。統計ではありません
- 法律の話(割増賃金など)は労働基準法の条文どおりに書いています
- 会社規模と地域で、体感値は上下に20〜30%は動きます
給与明細を分解する:何が乗って、何が引かれるか
「給料がいい」と言われる正体を、項目ごとにばらします。ここが分かると求人票の読み方が変わります。
基本給:ここが全部の土台になる
体感で月18〜22万円あたりが多い印象です。地方の中小だと18万を切ることもあります。
求人票を見るとき、一番大事なのはここです。理由は、基本給が賞与・退職金・各種手当の計算基準になるから。基本給が低くて手当で盛ってある会社は、賞与のときに差が出ます。額面が同じでも、基本給18万の会社と22万の会社では、ボーナスが月数で決まるぶん年収が数十万変わります。
深夜手当:法律で25%以上と決まっている
労働基準法37条により、22時から翌5時の勤務には25%以上の割増を付けなければいけません。これは会社の裁量ではなく義務です。
遅番が多い月とそうでない月で、手取りが数万円変わります。「今月少ないな」と思ったら、だいたい早番が続いた月です。
時間外手当:月60時間を超えたら50%になる
ここは知らない人が多いので、はっきり書きます。
- 時間外労働(残業)は25%以上の割増
- 月60時間を超えた分は50%以上の割増。2023年4月から中小企業にも適用されています(それまでは猶予されていました)
- 月60時間を超える残業を深夜帯にやった場合は、50%+25%で75%の割増
- 休日労働は35%以上。ただしこれは「法定休日」(週1日または4週4日)に出た場合だけです。週休2日の会社で「もう1日の休み」に出た分は、週40時間を超えていれば時間外の25%であって35%ではありません。ここを勘違いして会社に噛みつくと、こちらが恥をかきます
新台入替や周年で残業が膨らんだ月は、ここを必ず確認してください。60時間を超えているのに25%のまま計算されていたら、それは未払いです。中小企業の猶予が終わったことを知らないまま運用している会社は、正直まだあります。
役職手当:主任からが分かれ目
体感で主任クラスで月1〜3万円、店長で月5〜10万円あたり。会社によって幅が大きい項目です。
ここで注意してほしいのが、店長になると残業代が付かなくなる会社があること。「管理監督者」という扱いにされるパターンです。店長手当5万円をもらって残業代が消えると、実質的に手取りが下がることがあります。
ボクの同期に、主任のとき月28万だった人がいます。店長になって手当5万が付いて、残業代が消えて、翌月の額面が26万8千円。昇進して1万2千円下がりました。本人は「出世したのに減った」と笑っていましたが、笑い話ではありません。
ただし「店長という肩書きだけで管理監督者になる」わけではありません。勤務時間に裁量があるか、待遇が地位にふさわしいか、経営に関与しているか——このあたりで実質的に判断されます。名ばかり店長は法的には管理監督者ではないので、そこは覚えておいてください。
店長でも深夜手当は消えません(ここは絶対に知っておいてください)
前の項目の続きで、この記事で一番お金になる話です。
仮に本当に管理監督者に当たる店長だったとしても、深夜割増だけは払わなければいけません。
理由は条文の作りにあります。労働基準法41条が適用除外にしているのは「労働時間・休憩・休日」だけで、深夜業の割増(37条)は除外されていません。深夜の割増は「働いた長さ」ではなく「どの時間帯に働いたか」に着目した規制なので、性質が違うからです。最高裁もことぶき事件(平成21年12月18日)でこれをはっきり認めています。
パチンコ店の店長は、締め作業でほぼ毎日22時以降に働いています。つまり本来は毎月、深夜割増が付いていなければおかしい。
「店長は管理職だから手当は一切なし」で処理されているなら、給与明細に深夜手当の行があるかを見てください。ないなら、それは請求できる可能性があります。ボクの周りでも、ここに気づいていない店長は普通にいました。
資格手当:出ない会社の方が多い
遊技機取扱主任者などが対象ですが、手当を出す会社は限られます。資格自体は店に必要なので取らせるけれど、手当は付けない——という会社の方が体感では多いです。求人票に「資格手当あり」と書いてあったら、いくら出るのかまで確認してください。
住宅手当・寮:ここが一番会社差が大きい
額面が同じでも、寮の条件で手元に残る金額が月3〜5万円変わります。
- 寮費が会社負担:実質的な収入は大きく上がります
- 寮費が自己負担(給与天引き):額面は変わらないのに手取りが減ります
- 住宅手当のみ:数千円〜2万円程度が多い
求人票の年収比較をするときは、寮費を引いてから比べてください。ここを見落として「A社の方が高い」と決めて、実際は逆だったという人を何人も見ました。
賞与:業績連動なので、実績を聞くしかない
会社次第としか言えません。店の数字が悪いと露骨に減ります。「年2回・計3ヶ月」と書いてあっても、それは良かった年の話であることがある。
だから聞くべきは制度ではなく「直近3年の支給実績」です。制度は建前、実績は事実です。
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「月収35万円可」の中身を逆算する
ここが本題です。求人票の大きい数字は、たいていこう分解できます。
月収35万円の内訳(よくある例)
- 基本給 20万円
- 深夜手当 1.5万円(遅番が多い月)
- 残業代 7万円(新台入替や周年がある月)
- 役職手当 3万円
- 住宅手当 2万円
「可」の一文字が全部を語っています。これは一番条件が良い月の数字であって、毎月これになるわけではありません。早番が続いて残業もない閑散期は、同じ人でも27〜28万になります。
元面接官として言うと、この数字自体は嘘ではありません。実際にその月はそうなる。ただし平均ではない。求人票は「達成可能な最大値」を書く場所なので、そういうものだと思って読んでください。
求人票の「深夜手当」が本当か、閉店時刻から逆算する
ここは他の記事が書かないので、計算のやり方を置いておきます。深夜手当の額は、閉店時刻から逆算すると嘘がバレます。
基本給20万円を月160時間で割ると、時給は1,250円。深夜割増は25%なので1時間あたり約312円です。ここから逆算します。
- 23時閉店の店:締め作業まで入れて深夜帯は1日2時間前後。月22日で44時間 → 深夜手当は1.3〜1.5万円
- もし求人票に「深夜手当3万円」と書いてあったら、月96時間の深夜労働が必要です。毎日22時から翌2時24分まで。23時閉店の店では物理的に出ません
つまり「深夜手当が厚い」と謳う店は、閉店が遅いか、数字を盛っているかのどちらかです。面接で閉店時刻と締め作業の終わる時間を聞けば、その場で検算できます。
手取りはいくら残るのか
額面の話をしても意味がないので、財布に入る金額まで書きます。
額面から引かれるもの
- 健康保険料・厚生年金保険料:合わせて額面の14〜15%程度。40歳になると介護保険料が加わって15〜16%台に上がります(誕生日の月から自動的に引かれ始めます)
- 雇用保険料:わずか
- 所得税
- 住民税(前年の所得に対して。詳しくは次の項目で)
- 寮費・社宅費(天引きの会社の場合)
- 社内積立・共済・持株会(パチンコ業界は制度がある会社が意外と多い)
ざっくりした感覚として、1年目は額面の8割ちょい、2年目以降は75〜80%が手取りです。額面30万なら手取り23〜24万あたり。ここから寮費が引かれるなら、さらにその分下がります。
1年目だけ手取り率が高いのには理由があります。次で説明します。
1年目だけ手取りが多く見えるカラクリ
これで2年目に「減った」と焦る人が毎年います。
住民税は前年の所得に対してかかるので、新卒1年目には原則として引かれません(前年にアルバイト等で一定以上の所得があった人は引かれます)。本格的に引かれ始めるのは入社2年目の6月からです。月1〜2万円がいきなり増えるので、2年目の6月に手取りがガクッと落ちます。昇給しているのに手取りが減る、という現象が起きるのはこれが原因です。
知っていれば驚きませんが、知らないと「この会社おかしいのでは」と思ってしまう。おかしいのは会社ではなく、日本の税金の仕組みです。
社内積立は「見えない天引き」なので必ず確認
パチンコ業界は財形や社内積立の制度がある会社が多いです。強制ではないことがほとんどですが、入社時の書類でよく分からないまま加入している人を何人も見ました。
貯まっているなら悪い話ではありません。ただし辞めるときに精算を忘れると、そのまま放置されることがあります。給与明細に見慣れない天引き項目があったら、それが何かは把握しておいてください。
役職とキャリアで、給料はどう動くか
ここからは体感値です。会社規模と地域で上下します。
ホールスタッフ(入社〜3年目)
年収300万円前後。深夜手当と残業代がどれだけ乗るかで、同じ会社の同期でも数十万は変わります。
20代前半の入口としては、悪くない水準です。ただし「学歴不問でこの額を出せる仕事は他にない」というのは言い過ぎで、運送・建設・介護(夜勤あり)・警備あたりは同じくらい出ます。入口の金額で差がつく業界ではありません。
主任・係長(3〜5年目)
年収380〜420万円あたり。ここから仕事の中身が変わります。接客から、シフト作成・発注・バイトの教育・クレームの一次対応へ。「作業をする人」から「回す人」になるのがここです。
店長(早い人で20代後半)
年収450〜550万円あたりがひとつの目安。売上と粗利の責任を持ち、釘・設定の方針を決め、人員配置をして、本部に報告する。やっていることは小売店のマネジメントとほぼ同じです。
前述のとおり、ここで残業代が消える会社があるので、店長昇進の話が出たら「残業代の扱いはどうなりますか」を必ず聞いてください。聞きにくいと思うかもしれませんが、これは当然の確認です。
エリアマネージャー・本部(ここに乗れるかが分かれ目)
年収600万円以上も出てきます。ただしポストの数が圧倒的に少ない。10店舗の会社なら店長は10人いますが、エリアマネージャーは1〜2人です。
ここに乗れないと、40代で年収が止まります。これがこの業界の給料の一番シビアなところです。
本当の価値は金額ではなく「昇進の速さ」
ここまで書いておいて何ですが、この業界の給料の価値は、額そのものではありません。
世間の会社なら主任になるのに10年かかるところを、この業界は人の入れ替わりが激しいぶん上が空くので、3〜5年で主任、20代後半で店長という人が普通にいます。実力主義というより、単に構造の問題です。
20代でマネジメントと数字の実績を作れる——これは他の業界に出るときに効きます。だから「なんとなく続ける」が一番損をする業界なんです。伸びが止まる前に、上を取りに行くか、外に出るかを決める。
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評価する側にいたので、はっきり書きます。年数を重ねても上がらない人には、共通点がありました。
1. 数字が読めない
これが一番大きいです。接客が上手い人はたくさんいますが、割数の話をして意図が伝わる人は思っているより少ない。主任・店長に上げるかどうかを判断するとき、見ているのは「数字の話が通じるか」です。
逆に言えば、計数管理が分かるだけで候補に残ります。難しいことではなくて、単にやる人が少ないだけです。
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2. シフトを作れない
シフト作成は、人件費のコントロールそのものです。人が足りないと売上を落とし、多すぎると利益を落とす。ここを任せられるかどうかで、主任に上げるかが決まります。
3. 人を育てられない
自分が動いた方が早い、で止まる人は上がりません。店長の仕事は自分が働くことではなく、店が回る状態にすることだからです。バイトに教えるのが上手い人は、ほぼ確実に上に行きます。
ついでに:会社を選び間違えると、何をしても上がらない
これも正直に書きます。数字を「原因を探すため」に使う店は、若手にもホールコンピューターを触らせて、悪い数字が出たときに一緒に分解します。こういう店にいると3年で力が付く。
一方数字を「詰めるため」に使う店は、割数だけ見て現場に「なんとかしろ」と丸投げします。ここにいると計数を覚えても評価には一切つながりません。数字が詰められる材料でしかないからです。
同じ努力をしても、前者にいるか後者にいるかで3年後がまったく違います。
アルバイトの時給はどうか
時給の目安
地域差が大きいですが、その地域の飲食バイトより100〜200円高いくらいのポジションにいることが多いです。都市部では1,200円前後、地方では最低賃金+αというところもあります。
深夜はアルバイトでも25%増し
アルバイトでも22時以降は25%以上の割増が付きます。これは雇用形態に関係ない法律上の義務です。「バイトだから深夜手当はない」と言われたら、それは違法なので覚えておいてください。
社員登用は、実際どうか
あります。むしろバイトからの登用は会社にとって一番安全な採用なので、店側は歓迎します。仕事ぶりを見たうえで採れるからです。
ただし「社員登用あり」と書いてあっても、実績がゼロの店は普通にあります。面接で「直近3年で何人が社員になりましたか」と聞いてください。数字が出てこない店は、制度があるだけです。
元面接官が教える、給料まわりの聞き方
採用する側にいたから言いますが、お金の話をきちんと聞ける人は好印象です。濁す会社の方が問題があります。
必ず聞くべき4つ
- 「基本給はいくらになりますか」(月収総額ではなく基本給。賞与の計算基準だから)
- 「固定残業代(みなし残業)は含まれていますか。含まれる場合、何時間分ですか」
- 「賞与の直近3年の支給実績を教えてください」(制度ではなく実績)
- 「主任に上がるまでの平均年数はどのくらいですか」
固定残業代は特に確認してください
「月給28万円(固定残業代45時間分を含む)」のような書き方です。意味を正確に言うと、残業が0時間でも28万は出るが、45時間残業しても28万のままということ。額面から45時間分の残業代を引いた金額が、その会社があなたに払っている本当の値段です。
そして45時間を超えた分は、別途支払われなければいけません。ここを払っていない会社は違法です。
もうひとつ、元店長として気づいてほしいことがあります。45時間という数字は、36協定の原則上限(月45時間)そのものです。上限ぎりぎりを固定残業代に設定している会社は、毎月そこまで働かせる前提で人員を組んでいると読めます。数字が大きいほど「たくさんもらえる」ではなく、「それだけ働かせる設計になっている」と読んでください。
嫌がられない聞き方のコツ
「長く働きたいので、生活設計のために確認させてください」と前置きすると角が立ちません。ボクが面接官だった頃、この聞き方をされて悪い印象を持ったことは一度もありません。むしろ計画性がある人だと思いました。
逆にこの質問を濁す会社は入らない方がいい。答えられる会社は制度が整っています。
それでも給料が上がらないなら、店を変えるのが一番早い
身も蓋もない話ですが、同じスキルを持っていても、会社によって年収も昇進の速さもまったく違います。
業界の数字を、都合よく切り取らずに書きます。パチンコの参加人口はピーク(1995年・約2,900万人)から4分の1以下まで落ちました。そのうえで、レジャー白書2025によると2024年は690万人で前年より30万人増え、市場規模も16.2兆円と2年連続プラスに転じています。
つまり「市場全体が伸びている」のではありません。店舗数が29年連続で減るなかで、残った店に客が集まり直しているという形です。
だからこそ、昔より会社選びの重みが大きくなっています。沈むのは業界ではなく「集められない会社」の方で、そこにいると給料も先のポストも一緒に沈みます。
だから確認すべきはこの4つです。
- 直近3年の出店状況(閉店ばかりで新規出店がない会社は数年後が危ない)
- 1店舗あたりの正社員数(少ないと有給も休みも構造的に取れません)
- 昇給モデルと店長までの平均年数
- 基本給の水準(手当で盛っていないか)
問題は、この4つはどれも求人票に書いていないことです。
ここで役割を分けて考えてください。待遇(基本給・固定残業代・賞与実績)は、面接で自分が聞けばいい話です。前の項目で聞き方も書きました。
一方で離職率、1店舗あたりの正社員数、閉店・出店の予定といった「社内の事情」は、面接で本人が聞くと角が立ちます。ここだけは、間に人を入れた方がいい。
「パチンコヒーローズ」はパチンコ・パチスロ業界に特化した求人サービスで、専任のコンサルタントが付きます。公式サイトに挙がっているのは、書類選考対策、面接対策、スケジュール調整、条件交渉、入社日調整、円満退社に向けたアドバイス、入社後のキャリアサポートです。
給料の話で言えば、この中で一番効くのは「条件交渉」です。自分で「もう少し出ませんか」と言うのは、内定前だとかなり勇気が要ります。そこを代わりにやってもらえるなら、使わない手はありません。
ただし企業が開示しない情報もあるので、全部が分かるわけではありません。それでも聞くのはタダです。
よくある質問(FAQ)
Q. 未経験でもいきなり年収300万円いきますか?
遅番に入る前提なら、体感では届くことが多いです。ただし早番中心の配属だと深夜手当が乗らないので、その分下がります。「シフトの組まれ方で年収が変わる」のがこの仕事の特徴です。
Q. 求人票の「月収35万円可」は嘘ですか?
嘘ではありませんが、平均でもありません。深夜手当と残業代が最大限乗った月の数字です。面接で「平均的な月の手取りはどのくらいですか」と聞くのが一番確実です。
Q. 店長になると本当に残業代が出なくなるんですか?
そういう会社はあります。ただし肩書きだけで管理監督者になるわけではありません。勤務時間の裁量、待遇、経営への関与などで実質的に判断されます。名ばかり店長は法的には管理監督者ではないので、残業代は支払われるべきです。
Q. 2年目に手取りが減ったんですが、間違いですか?
間違いではない可能性が高いです。住民税は2年目の6月から引かれ始めます。月1〜2万円増えるので、昇給していても手取りが下がって見えます。
Q. バイトから社員になると給料は上がりますか?
月収の総額としては上がることが多いですが、時給換算では下がることがあります。拘束時間と責任が増えるからです。社員になる価値は目先の額ではなく、役職に上がる道が開くことの方にあります。
Q. 有給を使うと給料は減りますか?
この業界に限っては「減ることがある」が正確な答えです。ここは他の記事があまり書きません。
有給の日にいくら払うかは、会社が就業規則で3つの方式から選んでいます。「通常の賃金」方式なら減りません。ところが「平均賃金」方式を選んでいる会社だと、深夜手当が乗らないぶん、有給の日の賃金が普段より目減りします。深夜手当が給料の柱になっているこの業界では、ここが地味に効きます。
就業規則の「年次有給休暇中の賃金」の項目を一度見てみてください。
なお有給が発生するのは入社から6ヶ月以上働き、その間の出勤率が8割以上の場合です。さらに年10日以上付与される人には、会社が年5日を必ず取らせる義務があります(2019年4月から。違反は従業員1人あたり30万円以下の罰金)。「人手不足だから取らせない」は、会社側が罰則を受ける話です。
Q. 残業が月70時間ありました。割増は何%ですか?
60時間までが25%以上、60時間を超えた10時間分は50%以上です。2023年4月から中小企業にも適用されています。さらにその残業が深夜帯なら、50%+25%で75%になります。給与明細を確認してみてください。
Q. 40代・50代でも稼げますか?
店長やエリアマネージャーに乗れていれば稼げます。乗れていない場合は、20代の頃と大きく変わらない額で止まっているケースが多いです。体力的にも遅番中心は年々きつくなるので、そこは正直に書いておきます。
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「パチンコ店員に定年ってあるの?」「50代、60代になってもホールを回っているのか?」——面接でも飲みの席でも、何度も聞かれてきた質問です。結論から言うと、就業規則上の定年(多くは60歳、再雇用65歳 ...
まとめ
この記事の要点
- 給料のカーブは「20代前半で勝ち、30代後半で抜かれ、40代で差が開く」
- 入口が高いのは能力ではなく深夜手当が構造的に乗るから。そして深夜手当には天井がある
- 業界だけの公的な賃金統計は存在しない。「業界平均年収◯◯万円」は出典なしの孫引きが大半
- 求人票で見るのは総額ではなく基本給。賞与も退職金もここが基準になる
- 月60時間超の残業は50%増し(2023年4月から中小企業も)。深夜と重なれば75%
- 額面が同じでも寮費で手取りが月3〜5万変わる。年収比較は寮費を引いてから
- 2年目の6月に住民税が始まる。昇給しても手取りは一度下がる
- この仕事の本当の価値は金額ではなく昇進の速さ。伸びが止まる前に動くか上を取るかを決める
ボクが13年見てきて一番もったいなかったのは、給料が低い人ではありません。自分の給与明細の中身を知らないまま、なんとなく続けていた人です。
明細を分解できるようになると、今の会社が自分に何を払っているのかが分かります。そこからしか、次の判断は始まりません。
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※法令の解釈や制度は改正される可能性があります。実際の手続きや請求を行う際は、労働局の総合労働相談コーナーなど公的窓口でご確認ください。
参考データ:店舗数=警察庁「令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」/参加人口・市場規模=日本生産性本部「レジャー白書2025」/割増賃金=労働基準法37条、および月60時間超の割増率にかかる中小企業への猶予措置の廃止(2023年4月1日施行)