「パチンコ店の正社員って、転勤が多いんでしょ?」
これはよく誤解されているところです。先に結論を書きます。
転勤の有無は「業界」の話ではなく、「会社」と「雇用区分」の話です。そして2024年4月から、それが求人票を見れば分かるようになりました。
これを知らずに「パチンコ業界=転勤が多い」で選択肢を狭めている人が、けっこういます。ボクは業界歴13年、正社員としても店長としても働いてきたので、その実感も含めて整理します。
結論:3つを見れば、入る前に分かります
転勤の有無を確認する3ステップ
1. 求人票の「就業場所の変更の範囲」を見る(2024年4月から明示が義務)
2. その会社の店舗一覧を見る(何県にあるか。それ以上には行きようがない)
3. エリア限定の雇用区分があるかを面接で聞く
この3つで、だいたい判断できます。
2024年4月から、求人票で転勤の範囲が読めるようになりました
これは新しいルールなので、知らない人が多いところです。
明示が義務になった項目
職業安定法施行規則の改正により、2024年4月1日以降、労働者の募集や求人の申込みの際に次の明示が必要になりました。
- 就業場所の変更の範囲
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準
ここで言う「変更の範囲」とは、入社直後だけでなく将来の配置転換まで含めた範囲のことです。しかも正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員を含むすべての労働者が対象になっています。
「会社が定める全事業所」と書いてあったら、全国の可能性があります
読み方は難しくありません。
- 「変更なし」または特定の店舗名だけ → その範囲に限られる
- 「◯◯県内の当社店舗」 → 県内異動の可能性がある
- 「会社の定める全事業所」 → 全国転勤の可能性がある
3つ目の書き方をしている会社は、実際に全国転勤があるとは限りませんが、契約上はどこへでも異動させられる状態だということです。
明示された範囲は、契約の内容になります
ここが重要なところです。入社時には労働条件通知書でも同じ内容が示されます。
つまり、そこに書かれた範囲を超える異動を、会社は一方的にはできません。逆に言えば、範囲の中の異動なら、原則として業務命令として有効になります。
だから求人票と労働条件通知書のこの欄は、入社前に必ず確認してください。ここを見ないまま入って、あとから「聞いていない」と言っても、書面に書いてあれば通りません。
全国型とエリア型:雇用区分の違い
大手のホール企業では、勤務地の範囲によって雇用区分を分けているのが一般的です。
| 全国型(総合職) | エリア型(地域限定) | |
|---|---|---|
| 異動の範囲 | 全国の店舗・グループ会社 | 特定エリア内のみ |
| キャリアの上限 | 本部・役員まで | エリアマネージャー止まりの会社もある |
| 給与 | 手当がつく会社が多い | 全国型より低めに設定されることがある |
| 向いている人 | 上を目指したい、身軽に動ける | 生活基盤を動かしたくない |
正直に言っておきます:エリア型には天井があることが多いです
エリア限定は生活の安定という点で魅力的ですが、会社によっては昇進の上限がエリアマネージャークラスまでで、本部のポストは全国型でないと目指せないという制度になっていることがあります。
「転勤したくない、でも上まで行きたい」を両方叶えるのは、会社によっては難しいというのが正直なところです。
ただし、区分の途中変更を認めている会社もあります。「エリア型から全国型に移れますか」「その逆はできますか」は、面接で聞いておく価値があります。役職と給料の関係はパチンコ店員の給料のリアルで分解しているので、あわせて見てください。
そもそも、なぜパチンコ店には転勤があるのか
ここは業界特有の事情があるので、書いておきます。
店長を同じ店に長く置かない会社があります
これは他業種の人には意外に思われるのですが、意図的に店長を動かす方針の会社があります。
理由は、同じ店に長くいると人間関係が固定されるからです。出入りの業者との距離が近くなる、常連客と個人的に親しくなる、部下との関係が上下ではなくなる。どれも、店の運営としてはリスクになり得ます。
だから数年で動かす。悪い話ではなく、そういう仕組みの会社があるということです。
昇進とセットになっていることが多いです
もう一つの理由がこれです。主任から副店長、副店長から店長に上がるとき、同じ店の中でポストが空くとは限りません。
だから上がるタイミングで、ポストが空いている店に移る形になります。つまり転勤が多い会社は、見方を変えると昇進の機会がある会社でもあります。
逆に、動かない会社もあります
単店経営や数店舗だけの会社なら、そもそも動く先がありません。県内に数店舗という規模の会社なら、あっても車で通える範囲の異動です。
この場合、転勤の心配はほぼない代わりに、ポストが空かないので昇進しにくいという別の問題が出てきます。ここはトレードオフです。
転勤で、実際に何が起きるのか
内示はいつ来るのか
会社によりますが、1か月前くらいというケースが多いです。中には数週間前ということもあります。半年前に分かる、というような世界ではありません。
だから家を買う、子どもの学校を決めるといった判断は、転勤のある会社では慎重になる必要があります。
引っ越し費用と社宅・寮
会社都合の異動なら、引っ越し費用は会社が負担するのが一般的です。ただし上限額や対象範囲は会社ごとに決まっているので、規定を確認してください。
寮や社宅がある会社なら、住まいの心配は減ります。ただしその場合、辞めると同時に住むところがなくなるという構造も同時に受け入れることになります。ここは入る前に理解しておいたほうがいい点です。
給料は変わるのか
基本給が下がることは通常ありません。ただし変わる要素はあります。
- 役職が上がる異動なら、役職手当が増える
- 地域手当がある会社なら、勤務地で金額が変わる
- 閉店時刻が違う店に移ると、深夜手当が変わって手取りが動く
最後の点は見落としがちです。23時閉店の店から24時閉店の店に移れば手取りは増えますし、逆なら減ります。パチンコ店の給料は深夜手当の比率が高いので、ここは意外に効きます。
転勤は断れるのか
原則として、範囲内の異動は断れません
労働契約で就業場所の変更が予定されている以上、その範囲内の異動命令は正当な業務命令になります。正当な理由なく拒否し続ければ、懲戒の対象になり得ます。
ただし「変更の範囲」を超える異動は別です
2024年4月からのルールで、就業場所の変更の範囲は書面で示されるようになりました。そこに書かれていない場所への異動は、契約の範囲外です。この場合は話が変わります。
だからこそ、入社時の労働条件通知書は捨てずに取っておいてください。
育児・介護の事情がある場合は、配慮義務があります
育児・介護休業法26条で、就業場所の変更を伴う配置転換をするとき、会社は労働者の子の養育や家族の介護の状況に配慮する義務を負っています。
具体的には、状況を把握すること、本人の意向をくむこと、育児や介護の代替手段があるかを確認することなどが挙げられています。
ただし正確に書いておくと、これは「異動させてはいけない」という規定ではありません。配慮する義務であって、結果として異動そのものを止めるものではない、とされています。
それでも、事情があるなら黙っていないで伝えることが大前提です。伝えていなければ、会社は把握のしようがありません。
転勤したくない人の選択肢
動きたくないなら、この順番で
1. 求人票の「就業場所の変更の範囲」で絞る
2. エリア限定の雇用区分がある会社を選ぶ
3. 県内数店舗までの規模の会社を選ぶ(そもそも動く先がない)
4. 面接で「直近3年で、県外への異動は実際にありましたか」と実績を聞く
4番の聞き方がポイントです。「転勤はありますか」と聞くと「可能性はあります」としか返ってきません。制度ではなく実績を聞くと、具体的な答えが返ってきます。
求人票の他の項目の読み方はパチンコ求人票の読み方にまとめました。
よくある質問
Q. アルバイトでも異動はありますか
基本的にはありませんが、近隣店舗へのヘルプはあります。同じ会社の別店舗が人手不足のときに、1日単位で応援に行く形です。遠方への転勤という意味での異動は、まずありません。
Q. 転勤を断ったら、どうなりますか
契約の範囲内の異動を正当な理由なく断り続けると、最終的には懲戒の対象になり得ます。断るのではなく、事情を伝えて相談する形にするのが現実的です。
Q. 転勤が多い会社は、避けたほうがいいですか
一概には言えません。転勤が多い会社は、店舗数が多く、ポストが空く機会も多い会社です。動きたくないなら避けるべきですが、上を目指すなら逆に有利です。
Q. 家を買ったあとに転勤になったら
これは実際に起きる話です。単身赴任という選択肢もありますが、生活も費用も負担が大きい。住宅を買うなら、その前にエリア限定への区分変更ができるかを確認しておくほうが安全です。
Q. 年齢を重ねると、転勤は減りますか
役職が上がるほど、むしろ動く範囲は広がる傾向があります。ただし会社によっては、一定の年齢以上は動かさない運用のところもあります。長く働いた人がどうなっているかはパチンコ店員に定年はある?にまとめました。
まとめ
この記事のまとめ
・転勤の有無は「業界」ではなく「会社と雇用区分」で決まる
・2024年4月から、求人票に「就業場所の変更の範囲」の明示が義務になった
・「会社の定める全事業所」と書いてあれば、全国転勤の可能性がある
・明示された範囲は契約の内容。範囲を超える異動は別問題なので、通知書は保管する
・エリア型は昇進に天井があることが多い(会社による)
・店長を同じ店に長く置かない方針の会社がある。昇進とセットのことも多い
・内示は1か月前程度。半年前に分かる世界ではない
・閉店時刻が違う店に移ると、深夜手当が変わって手取りが動く
・育児・介護の事情には配慮義務がある。ただし異動を止める規定ではないので、必ず伝える
・面接では制度ではなく「直近3年の異動実績」を聞く
「パチンコ業界は転勤が多い」と一括りにすると、選べる会社を自分で減らすことになります。見るべきなのは業界ではなく、その会社の店舗一覧と、求人票の1行です。
会社ごとの転勤の実態を聞いてみる
「制度としては全国型だが、実際はほとんど県内で動いている」といった運用の実態は、求人票からは読み取れません。
「パチンコヒーローズ」は、パチンコ・パチスロ業界に特化した求人サービスです。会社ごとの異動の傾向や、全国型とエリア型のどちらが希望に合うかを担当アドバイザーに相談しながら求人を絞り込めます。専任のコンサルタントが、書類選考対策・面接対策・条件交渉・入社日調整までサポートしてくれます(サービス内容は変更される可能性があるため、必ず公式サイトの最新情報を確認してください)。
\書類選考対策・面接対策・条件交渉までサポート/
PR:パチンコ業界に特化した就職・転職サービス【パチンコヒーローズ】
あわせて読みたい
「アットホームな職場です!」「福利厚生充実!」 こういう謳い文句の求人ほど、入ってみたら聞いていた話と全然違った——パチンコ業界では、正直よくある話です。 ボクは業界歴13年で、店長として求人票を書く ... 続きを見る 「パチンコ店員は給料がいい」——これ、半分本当で半分嘘です。 ボクは業界歴13年、ホールから始めて店長までやり、面接官として採用側にも座っていました。給与明細を作る側と、求人票を書く側の両方にいた人間 ... 続きを見る 「30代・未経験でパチンコ業界なんて、今さら遅いですよね」 面接でこう切り出す人を、何人も見てきました。 先に結論を書きます。遅くはありません。入ること自体は、30代でも40代でも普通にできます。 た ... 続きを見る 「パチンコ店員に定年ってあるの?」「50代、60代になってもホールを回っているのか?」——面接でも飲みの席でも、何度も聞かれてきた質問です。結論から言うと、就業規則上の定年(多くは60歳、再雇用65歳 ... 続きを見る
パチンコ求人票の読み方|元店長が「書かない自由」と法律で明示が義務の項目を解説
パチンコ店員の給料のリアル|元店長が給与明細を全部分解する【手取り・年収カーブ】
パチンコ業界へ30代・40代の未経験転職は厳しい?元面接官が年齢で変わる現実を解説
パチンコ店員に定年はある?長く働いた人のリアルと40代からの選択肢